
要点
・クールなデザインのアルミ筐体で軽量・堅牢・高質感がある
・半開放構造により広い音場と自然な抜け感を実現
・寒色〜ナチュラル系の弱ドンシャリ。バランスが良く、解像度・分離感も十分
・低音域は自然な量感と弾力。レスポンス速くタイト。派手さはないが自然で上質
・中音域は特に女声の透明感が良く、J-POPとの相性◎。刺激が少なく自然
・高音域は明るく透明感があり、抜け感が心地良い
・豊富なイヤーピース、交換ノズルによる変化を楽しめる
まえがき
レビュー#28
今回は Fosi Audio IM4 です。
「Fosi Audio」は2017 年に設立され、高品質の HiFi 製品の研究開発、製造、世界的な販売に注力しているテクノロジー企業です。
「IM4」は、「Fosi Audio」にとってポータブルイヤホン分野への初めての挑戦であり、外観から音質に至るまで ブランドの理念を体現する製品として開発したとのこと。
また、ネーミングについては英語の “I am for” と同音であり、「私は支持する/私は応援する/私は〜のために存在する」という意味を込めた、開かれた参加型の宣言だそうです。
「Fosi Audio」はアンプやDACで有名なメーカーという印象ですが、今回の「IM4」で初のIEMへの参入となります。
詳細はレビューで触れますが、初のイヤホンにしてこの完成度の高さか!と唸らされました。基本的な機構もさることながら、細部にもこだわりを感じ、Fosi Audioの技術力の高さを感じました。
なお、今回の製品はレビューのため Fosi Audio 様よりご提供いただきました。ありがとうございます。
この依頼に際し、製品提供以外の金品授受その他便宜の提供はございません。また、内容に関して指示等は一切なく、完全に私の知識と経験に基づき感じたままをレビューしています。
「IM4」は、11/1より Makuake にてクラウドファンディングが開始されます。
仕様
スペック
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シェル材質 |
6063 CNC アルミニウム合金 |
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ドライバー構造 |
10mm 振動板 N52 デュアルマグネット デュアルチャンバー |
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振動板材質 |
PU ベリリウムコーティング振動板 |
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感度 |
109 dB |
| 21 Ω (オーム) | |
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周波数応答 |
20 Hz ~ 20 kHz |
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ケーブル材質 |
4本構成 合計392本 5N 高純度無酸素銅銀メッキ線 |
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着脱式ケーブル規格 |
2-PIN 0.78mm |
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オーディオ端子 |
3.5 mm 金メッキプラグ |
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重量 (片耳) |
7 g ±0.5 g |
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重量 (ケーブル込) |
38 g g |
ドライバー

ドライバーは10㎜シングルダイナミックドライバーで、いわゆる1DDの構成。
振動板はPU ベリリウムコーティング振動板で軽量かつ剛性。
ベリリウムメッキ振動板は反応とスピード感に優れている印象があります。
IM4は高品質なシングルダイナミックドライバーのみを搭載していますが、マルチドライバー構成と同様に性能も備えています。バランスの取れたチューニングにより、ボーカルと楽器が自然に融合し、音楽に忠実でありながら滑らかで層状のサウンドを実現します。

シンプルな構成ですが、その材質と構成によりTHD<1%の低歪みを実現しています。
また、前後に音の開放機構を備え、広いサウンドステージも実現。
IM4はN52のデュアルアネクティック回路を使用して、より高速な応答性とよりクリーンなダイナミクスを実現します。また、デュアルチャンバー設計によりサウンドステージが広がり、3つの周波数すべてがバランスが取れています。その結果、何時間も快適に楽しめる、純粋で詳細なオーディオが得られます。
(引用・画像はkickstarterの紹介ページより)
付属品や外装



「IM4」のパッケージはこんな感じ。

シンプルで無駄のないパッケージング。
華美な装飾が無く質実剛健な感じは本体の印象ともよくマッチしていますね。

内容物は①本体、②イヤーピース、③交換ノズル、④ケーブル、⑤ケース、⑥説明書等です。ややシンプルですが十分な付属品だと思います。


②イヤーピースは3種類・各3サイズ。
それぞれ「Balanced」「Bass」「Deep Bass」と名付けられており、それぞれ軸の固さや開口部の広さ、傘の柔らかさなどが異なります。

各イヤーピースの特徴は名前の通り、低音の強調度合です。
実際に聞いてみた感じはやや高域にも作用しており、その結果低音が強調されたりしているのかなと感じました。
個人的には「Bass」が好みでしたが、それぞれ柔らかさ等が異なるためフィット感なども含め個人差があるかと思いますので、一通り試してみることをお勧めします。


③付属の交換ノズル(金色)は真鍮製で、簡単に着け外しが可能です。
後述しますが、このノズルの変更でも結構音の印象が変わるので、ぜひ試してみてください。
小さいので失くさないように注意ですね。


④ケーブルは4本芯の「5N 高純度無酸素銅銀メッキ線」。
しなやかな取り回しで、タッチノイズはほぼなし。スライダーも機能します。


端子はフラットな0.78mm 2PINタイプ。プラグは3.5mmになります。
バランス接続で聴きたいということが無ければ、全体としてそのまま使える十分なクオリティだと思います。


⑤ケースはレザー風のソフトケースで本体・ケーブルが収納できるサイズ感。
イヤピは外せば全部入りそうです。高級感があり、普段使いにも良さそう。
本体・装着感等について
本体・造形について

「IM4」のカラーバリエーションは「ブラック」「シルバー」の2種類。
本体はCNC加工によるアルミニウム合金で、片側約7gと金属筐体としてはやや軽量な部類だと思います。
表面にはサンドブラスト+アルマイト処理が施されており、指紋や汚れが目立たず触り心地も良いです。
開放部分のFosi Audioらしいオレンジのメッシュがお洒落ですね。
全体的にしっかりとしたビルドクオリティで安っぽさを感じさせません。




端子部分はフラットな0.78mm 2pinタイプで汎用性◎です。
初期ノズルは黒色のアルミ製。
ノズル部分は返しが付いているので、大抵のイヤーピースが装着できるかと思います。
装着感について

「IM4」は金属製ながらアルミのため比較的軽量で、フィット感も良いためそれほど重さは感じません。
形状による装着感も良く、密閉による圧迫感も少ないので、長時間のリスニングでも不快感を感じませんでした。
音の感想
視聴環境
・アラサー男の耳 (16000hz)、ドンシャリ(V字、W字)好き
・エージング 50時間
・Fiio JM21 → 本機(EQ、フィルター無し、Lowゲイン)
・音量大きめ(音漏れが聞こえるくらい)
・ケーブル 標準(3.5㎜)
・ノズル(デフォルト(アルミ・黒))
・イヤピ 標準(Bass(黒軸))
・主なリファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『満ちていく』
〇米津玄師『海の幽霊』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇女王蜂『01』
〇鹿乃『優しさの記憶』
〇星街すいせい『綺麗事』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
〇梶浦由記 『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」コンサート』
全体的な印象について
やや寒色~ナチュラルな傾向で、バランス良くオールラウンドに使える印象。
ノズルを真鍮に変えるとやや寒色傾向が強くなる印象です。
チューニングとして弱ドンシャリ傾向で、全体的な重心はやや高め。
リスニング志向のチューニングで、バランスよく聴きやすいです。
飛び抜けたインパクトのある調整ではなく、万人受けしそうなチューニングという印象です。
分離感や解像度も10kクラスと考えれば十分で、情報量も豊富に感じました。
分離感・開放感・音楽的なまとまりがバランス良く成り立っており、その点でもしっかりと調整されている印象です。
メーカー初のIEMかつ販路もクラウドファンディングということで、もっと尖った製品になっているかとも思いましたが、想像以上にまとまりがよく完成度の高い製品に仕上がっています。

各音域について
◎低音域
量感はやや控えめ〜中程度くらいの印象。
サブベースとミッドベースのバランスは良好で、自然な感じ。
弾力に優れ、沈み込みも十分ですが、硬質でやや響きが軽いと感じる人もいるかもしれません。
レスポンスは十分速く、もたつきは感じません。
また、タイトでにじみが少ないので、他の帯域の邪魔をせず、聴きやすい印象です。
派手さは少なく、ベースヘッド(低音好き)には物足りないかもしれませんが、音楽性と自然さを両立した良い塩梅の低音だと思います。
◎中音域
ボーカルはドンシャリらしくほんの少し後退していますが、自然で聴きやすい範囲に収まっている印象です。
男声ボーカルも自然で聴きやすいですが、特に女声ボーカルでは透明感と明るさがプラスされている印象で、J-POPなどに向いていると感じました。
s,t行の刺さりも少ないです。
ピアノ・ギター等の楽器類も自然でキレが良く、かつ刺激は少なめ。
金属筐体なので変にこもって響かず、半開放的な構造のおかげもあって抜け感があるのも良いですね。
全体的にはナチュラルですが、ややドライな印象を受ける場面もあったので、豊かで艶やかな中音域は期待しないほうが良いでしょう。
◎高音域
適度な明るさと、透明感のある高音域で、トレブルや空気感も十分です。
この辺りにもベリリウムメッキ振動板の強みが出ているのではないかと感じました。
曲によってやや刺さりを感じる瞬間がありましたが、基本的には上手くロールオフされており、聴き心地の良い高音域だと思います。
あとは半開放の強みである抜け感が良い塩梅で作用している感じがします。
空間表現(ゲームでの利用等)について
サウンドステージは幅・高さ・奥行きともやや広め。
半開放ですが思ったよりもコンパクトに纏まっている印象です。
定位感も良好で、ASMRやゲームでも使えると感じました。
FPSゲーム(APEX LEGENDSで確認)でも十分音の聴きわけや、位置の確認ができました。変に圧迫感が無いので長時間の使用にもいいと思います。
交換ノズルについて

・アルミノズル(黒色)
メッシュ部分にリング状のフィルターが付いています。
高音域が減衰し低音域がやや強調されていますが、全体としてはピーキーさが無くとてもバランスが良い印象。
音場は真鍮ノズルと比べるとやや狭く感じるが、刺さりも気になりにくく、棘のない安定したバランスを求めるならこちらかも。
・真鍮ノズル(金色)
特にフィルターはついていません。
中高音域~高音域が活発になり、重心がやや上になる印象。
明るさと開放感が上がり、音場が横に広くなる感じがします。
一方高音域がやや刺さりやすくなり、バランスが崩れると感じるかもしれません。

総評としては以下のような印象でした。
・低音域
アルミノズル>真鍮ノズル
・中音域
真鍮ノズル≧アルミノズル
・高音域
真鍮ノズル>アルミノズル
その分刺さりやすくなったり、音場の広さが変わったりするので一長一短といった感じですので、イヤピも含め好みに合わせて調整するのが良いと思います。
個人的には明るく開放感のある真鍮ノズルの方が好みでした。
おわりに(感想・まとめ)
Fosi Audio IM4は想像以上の完成度で、「初のIEMとして」というよりは、「今後このクオリティの物を出すよ」という宣戦布告とも感じられる強い製品でした。
独特なデザイン、半開放型、交換ノズルとキャラクター性も十分です。
音的には癖の強いイヤホンを求める方には向かないかもしれませんが、バランスが良く完成度の高いイヤホンとして一聴の価値はあると思います。
今回はクラウドファンディングですが、一般流通でこのコスパの製品を出せるなら結構強いのではないかと感じました。
今後のFosi Audioのイヤホン製品にも要注目ですね。
さて、今回のレビューは以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
販売・リンク等(AD含)
・公式X:
・クラウドファンディング(Makuake):
www.makuake.com( 12/3 迄)