
要点
・アンダー1万円で交換プラグ、5種のイヤーピース、3種のチューニングノズルが標準付属という圧倒的コスパ
・「3DD + 1平面駆動」という挑戦的な構成が、圧倒的な音の厚みとキレを両立
・3基のドライバーが連動して空気を震わせる、物理的な音圧とパンチ力が楽しい低音域
・ドンシャリ傾向ながらボーカルは埋もれず、適度な厚みと温かみを感じるリッチな響きの中音域
・平面駆動由来のスピード感がありながら、不快な刺さりを丁寧に抑え込んだクリアな高音域
・鏡面仕上げの金属シェルが美しく高級感抜群(ただし指紋は付きやすい)
・(総評) 細かい分析よりも「音楽の楽しさ」に全振りした、価格破壊級のエンタメ系イヤホン
まえがき
レビュー#34
今回は TRN の SHELL です。
「TRN SHELL」は先日レビューした「TRN Whale Shark」の元となったモデルで、粗削りな部分はありますが、音作りの方向性はこの時点で完成していたように感じました。
当然後継機であり上位モデルである「Whale Shark」の方が、細かい部分の仕上がりや全体的な完成度では上回りますが、「SHELL」についても正直驚くほどリスニング機として完成しています。
また、上位モデルの「Whale Shark」は約2万円ですが、「SHELL」はその半額以下(セール時7,000円台になったりする)ので、付属品の豪華さと元気な音を安価に楽しみたいなら「SHELL」はかなり有力な選択肢ではないかと思います。
なお、今回の製品はレビューのため TRN 直営店(Amazon) 様よりご提供いただきました。ありがとうございます。
この依頼に際し、製品提供以外の金品授受その他便宜の提供はございません。また、内容に関して指示等は一切なく、完全に私の知識と経験に基づき感じたままをレビューしています。
「TRN SHELL」は現在 AmazonのTRN直営店 で販売中です。
仕様
スペック
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ジャック(プラグ)タイプ |
3.5mm + 4.4mm |
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ドライバー形式 |
ダイナミック型(3DD) + 平面磁界型 |
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周波数特性 |
20Hz - 20kHz |
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感度 |
110dB |
| 16Ω | |
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カラー |
シルバー |
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ケーブル長 |
1.2m ± 3cm |
| 重量 (イヤホン本体 + ケーブル) |
~2.6g + 9.3g |
ドライバー



「WhaleShark」は3DD(ダイナミックドライバー)+1PD(平面駆動ドライバー)の構成。
低音域~高音域を3つのダイナミックドライバーが、超高音域を平面駆動ドライバーが、それぞれ担当しています。
TRN SHELLは、3つのダイナミックドライバー(10.5mm、8mm、6mm)と6mm平面振動板ユニットを組み合わせた独自の設計を採用しています。このハイブリッド設計により、全周波数帯域をカバーし、パワフルな低音、透明感のある中音域、そしてクリアな高音域を実現しながら、音楽の本質と明瞭さを損ないません。
SHELLは、ベリリウムメッキ+PETおよびチタンメッキの振動板を備えたダイナミックドライバー構成により、優れた音の分離と精度を実現します。ダイナミックドライバーは、異なる周波数帯域にわたって調和のとれた動作で音を処理し、バランスの取れた自然なサウンドと、細部までこだわった音楽再生を実現します。
6mmのカスタム平面振動板ユニットは、超高域において卓越したパフォーマンスを発揮し、繊細で透明感があり、空気感あふれるサウンドを生み出します。この平面ドライバーは質量が軽減されているため、高域の伸びと明瞭性が向上し、より洗練された没入感のあるリスニング体験を提供します。
※仕様情報・画像等については公式販売ページより引用
付属品や外装

「SHELL」のパッケージはこんな感じ。
光が当たるとホログラムのようにキラキラ輝きます。


中国語、英語で書いてある文章は「貝殻は海に散りばめられた星々のようなもの。その声をあなたに届けてくれるのは、海なのです。」という意味だそうです。

内容物は①本体、②交換ノズル、③イヤーピース、④ケーブル(交換プラグ)、⑤ケース、⑥説明書等。
交換ノズルをはじめ、5種類のイヤーピース、交換プラグなど、充実のラインナップです。この価格帯では十分以上でしょう。

② 交換ノズルは標準装備のものを含め3種類。
個人的な印象をまとめると…
・緑ノズル (Reference):初期装備。バランス型。とりあえずこれ。
・黒ノズル (Transparent):内側のフィルターの目が粗い。高音を減衰させずに通すタイプ。全体的に少しスッキリした音になる印象。
・赤ノズル (Atmospheric):内側のフィルターの目が細かい。高域の刺激を抑えることで相対的に中低域の厚みを引き立てるタイプ。
変化の印象は同様のノズルが付属している「TRN WhaleShark」のものと変わらないですね。






③ イヤーピースは5種類サイズ。各3サイズでウレタンのみ1サイズ。
フォームタイプから液体シリコンタイプまで、性格の異なるイヤーピースが揃っているので、かなり充実したチップセットだと思います。
・上段中央:低反発フォーム(ウレタン)。低音域を強調したい時に。
・上段右側:標準的な弾丸型(黒色)。やや硬め。
・下段左側:標準的な弾丸型(白色)。黒色より開口部がやや広い。
・下段中央:「T-Eartips」として別売りもされている、少しペタペタするイヤピ。
・下段右側:「Sea snail」として別売りもされている、液体シリコンのイヤピ。

④ ケーブルは無酸素銅と銀を組み合わせた4芯銀メッキハイブリッドケーブル。しなやかで癖がつきにくく、タッチノイズも少ないので取り回しも良いと言えるでしょう。
端子はフラットタイプの0.78mm 2PIN。今までのTRNはQDCタイプが多かったのですが、「SHELL」ではフラット2Pinが採用されています。リケーブルしやすくて良いですね。


プラグは 3.5mmアンバランス / 4.4㎜バランスのプラグ交換式。ネジ式のロック機構があり、勝手に抜ける心配はありません。
正直、音質面・使い勝手の面で十分な品質のケーブルなので、下手にリケーブルするよりはこのまま使った方が良いかもしれません。プラグ交換式で簡単に3.5mm / 4.4㎜の切り替えができるのも良いですね。


⑤ ケースはプラスチック製のハードケースで、本体、ケーブル、イヤピ位なら十分入るくらいのサイズ感です。ストラップ付で、持ち運びにも便利です。
⑥ 説明書。日本語での記載もあります。
なお、100〜500時間のエージングが推奨されています。いつものTRNですね。
本体・装着感等について
本体・造形について

「SHELL」は亜鉛合金製で、製品名の通り「貝殻」をイメージしたデザイン。
フェイスプレートには、貝殻の表面のような滑らかな波紋が刻まれています。
全体が鏡面仕上げされたシルバーカラー。光を反射してキラキラと輝き、シンプルでありながらモダンな印象です。ただ、指紋や汚れが非常に目立ちます。

ピンの端子部分は凹みのないフラットタイプの0.78mm 2PINです。
ノズルは返しが付いているので、大抵のイヤーピースは装着できると思います。
装着感について
本体は金属製で一般的な樹脂製イヤホンよりもやや重めです。
ただ、形状が良く耳へのおさまりが良いため、フィット感は意外と高いです。ただし、耳の小さい人にとってはつけにくいかも?
また、金属製ですが角が丸く処理されており、長時間着けていても不快感は少ないです。
ただし、そこそこ重さがあるのでイヤーピースのサイズが合っていないと重さに負けてズレてきたり、しっかり密閉されなかったりするのでイヤーピース選びが大事になります。
個人的には先述した付属の「T-Eartips」「Sea snail」がグリップ力が高くお勧めです。

音の感想
視聴環境
・アラサー男の耳 (16000hz)、ドンシャリ(V字、W字)好き
・エージング 100時間
・Fiio JM21 → 本機(EQ、フィルター無し、Lowゲイン)
・音量大きめ(音漏れが聞こえるくらい)
・ノズル 緑ノズル(Reference)
・ケーブル 標準(4.4㎜)
・イヤピ 標準(T-Eartips)
・主なリファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『満ちていく』
〇米津玄師『海の幽霊』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇女王蜂『01』
〇鹿乃『優しさの記憶』
〇星街すいせい『綺麗事』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
〇梶浦由記 『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」コンサート』
全体的な印象について
全体的な音色はニュートラル〜やや寒色寄りの印象。
ただし、ソリッドでかっちりした骨格を持ちながらも、豊かな音の厚みと、余韻の熱気を感じます。
TRNらしくリスニング特化で、分析的に音を聴くモニターサウンドではなく、音楽をいかに楽しく聴かせるかに特化しているような、理屈抜きでテンションを上げてくれる元気な音です。
アンダー10Kという価格を考えると、破格の解像度だと正直感じましたが、音数の多い激しい曲でのレイヤリングでは少しごちゃつきや濁りを感じる場面がありました。
全体的にハイブリッドの強みを活かし、ダイナミック型の音の厚みと、平面駆動型の繊細なスピード感と解像感のいいとこ取りをしている印象です。
なお、前述のノズルとイヤーピースの交換で結構音の印象が変わるので、試してみることをお勧めします。
また、個人的にはやや音量は大き目の方がバランス良く感じましたが、聴覚に悪影響のない範囲でほどほどに。
ちなみに、個人的な所感としては本領発揮まで少し時間がかかるため、エージング(バーンイン)推奨です。

※周波数特性:公式販売ページより
各音域について
低音域
力強く厚みのある低音域です。量感としてはやや多め。
3DDのおかげか物理的な厚みを強く感じ、非常にパワフルです。しかし、ただボワボワと膨らむのではなく、適度にタイトで、音の芯が太く、密度が高いのが印象的です。
個人的にミッドベースのパンチと質感はこの価格帯では群を抜いている印象です。また、適度なテンポ感とスピード感で、聴いていて非常に気持ちが良いです。
サブベースの深さは少し控えめですが、重低音を欲張りすぎないことで、これだけの量感がありながらも中高域を邪魔しない、絶妙なバランスを保っています。
カリカリに解像度が高い低音域ではなく、忙しい曲では少し音が濁ることもありますが、全体的を通して見ると、太く、熱く、楽しい低音域という印象です。
中音域
体温と厚みを色濃く感じる、温かみのある中音域です。
低音域の強力な厚みが中域にも適度に干渉することで、全体的にウォームな響きで、分析的というよりは聴き心地の良い音です。
ピアノの残響やアコースティックギターの音のボディが、冷たくならずに豊かに響くのが印象的です。
ボーカルは一歩前に位置し、力強い存在感があります。
男性ボーカルではチェストボイスが痩せず、力強く聞こえます。
女性ボーカルでは平面駆動ドライバーがうまく働いているのか、サ行の刺さりを抑えつつも、抜けの良さを確保している印象です。
全体を通してみると、個人的には少し緩さというか、ぼやけているように感じる場面もありましたが、その分ボーカルの体温や楽器の余韻が濃く、リラックスして聴ける音という印象でした。
高音域
スピードと煌めきを感じる抜け感のある高音域です。
平面駆動ならではの速さとキレ、そして金属的な響きを感じます。
ただ、エッジが効き過ぎていないので、刺さりにくく聴き心地が良いです。
音の立ち上がり良く、シンバルや電子音がスパッと歯切れよく鳴ります。
少し硬質で金属的な響きがありますが、それが逆に煌びやかさとして機能しており、濃厚な低音域の中でも埋もれずに主張している印象です。
全体を通してみると、低音域との対比が良い具合のコントラストとして映えます。
空間表現(ゲームでの利用等)について
サウンドステージは上下左右とも自然でぼちぼちな広さな印象です。
一方でボーカルや楽器がリスナーに迫ってくるような臨場感もあります。
定位感も良く、ボーカルが真ん中にしっかり位置しつつ、ロックバンドの編成のように近距離間で綺麗に位相が結ばれている印象です。
なお、定位感は良いのでゲームやASMRでも使えないことはないと思いますが、圧が強めかつ空間が近めで音楽特化という感じなので、銃声や環境音が強すぎるという印象で積極的にはお勧めしません。(RPGなどで迫力を楽しみたい時には良いかもしれませんが。)
おわりに(感想・まとめ)
後継機である「Whale Shark」のレビューに続き、この「SHELL」を聴き込んでみましたが、TRNが目指しているであろう、「聴いていて楽しい音」という方向性を強く感じることができました。
「Whale Shark」がより洗練された大人のライブサウンドだとすれば、このSHELLはより荒々しくも若々しいライブサウンドです。
確かに、音数の多い楽曲での分離感や、帯域ごとの繋がりの滑らかさといった点では「Whale Shark」に軍配が上がります。しかし、この完成度、構成と付属品の豪華さでアンダー1万円(セール時には7000円台だったりもする)というのは驚異的です。
繊細な表現や完璧な分離感を求めるなら他にも選択肢はありますが、楽しさ重視で音楽を聴きたい人や、低音の迫力と空気感を味わいたい人にはぜひおすすめしたい高コスパ機だと感じました。
気になった方は是非一度聴いてみてください。
さて、今回のレビューは以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。

販売・リンク等
▷公式X:TRN 直営店(Amazon)
▷販売リンク:
※現在、20%(¥1,790)割引きで購入できます!(2026年1月14日水曜日まで)