
要点
・優れた解像度と分離感、十分な定位感と広大なサウンドステージ
・自然で脚色が少なく、クリアで素直に聴き取りやすい音色
・存在感がありつつも邪魔にならない高品質な低音域、風通しが良く明瞭な高音域
・軽く快適な着け心地で長時間の使用でも不快感が無い
・4.4㎜ジャックが無いことを除き、優れたパッケージ
・低音の物足りなさ、高音の刺さりを感じるかもしれない
まえがき
こんにちは、感想文#17です。
今回はNF ACOUS(旧NF Audio)のNM20です。
前回までレビュー編の#6、#7、#8、#9と続きましたので、イヤホンの感想文編はCVJ YUKIMI以来久しぶりです。
NF Acousは、以前はNF Audioという名前で、最近改名しましたが10 年以上のキャリアを持つ中国のIEM メーカーです。NM20の前身NM2はグローバル累計10万台以上の販売数だそうで、安心安全の実績あるメーカーという感じです。
今回のNM20は株式会社伊藤屋国際さんの福袋で購入した商品で、おまけ付ながら定価よりかなりお安く買えてラッキーでした。(ホクホク)
正直かなり使用頻度の高いお気に入りイヤホンで、クリアボディがカッコいいし音も良いので、A15kではかなりおすすめです( ᐛ )
今回も自由気ままにインプレッションをまとめましたので、参考までにご覧いただければ幸いです。
付属品や外装






外装及びパッケージはこんな感じ。
デザインはかなり凝っていて、この価格帯なら十分な開封体験ができると思います。

内容物は①本体、②ケーブル、③6.35㎜アダプタ、④イヤーピース、⑤ケース、⑥説明書です。
4.4㎜の選択肢が無いのは残念ですが、6.35㎜アダプタも付いており、十分な内容だと思います。



②標準ケーブルは5NシルバーコートOFCケーブルです。
ピンは0.78㎜ 2Pinで、俗にいうQDCタイプのように被せて装着するタイプ。
プラグは3.5㎜で4.4㎜のオプションはありません。
使用感ですが、標準装備として音質的には十分な品質だと思います。
(当然リケーブルしたら変化はありますが)
取り回しとしてはケーブルが細いためやや絡まりやすいです。
スライダーはまずまず機能します。


③6.35㎜アダプタも付属しており3.5㎜から6.35㎜に変換することができます。
現在でも6.35mmの端子を採用しているプロ用機器が多数あり、(中略)アルマイト処理と接点には金メッキを施し、優れた使用感と質感を持ったアダプタ(公式サイトより)
だそうです。




④イヤーピースは一種類で、4サイズついています。
形はやや口径の広い弾丸タイプ。傘はやや薄めで柔軟性がありますが、軸はかなりしっかりしており付属イヤーピースとしては十分以上のクオリティに感じました。
また、軸内部に溝があるので、返しのあるイヤホンであれば引っかかるので外れにくくなるかと思います。



⑤ケースはナイロン製のハードケースで、個人的にデザインはGood。
小さめですが、本体と付属ケーブルならばちゃんと収まるサイズです。
本体デザイン・造形


筐体ハウジング部分はクリアボディの樹脂製で、軽量性と装着の快適さを確保しています。
FPは金属製のフレームが付いており、中央のロゴデザインと合わせてシンプルなカッコよさを演出してくれています。



ノズル部分の径は標準的、軸の長さはやや短めです。
返しもあるので大抵のイヤーピースが装着できると思います。
コネクタ部分はせり出した2pinです。俗に言うQDCタイプのような形です。
端子自体は0.78㎜ 2pinで、主流の端子なので拡張性は〇ですが、形状的にケーブル側がフラット2pinやCIEM2pinだと見栄えが悪くなるので、どうするか悩ましいところです。
装着感
着け心地の良い形状で、フィット感も〇、没入感も良いです。
遮音性はイヤーピースにもよりますが、かなり良いと思います。
ハウジング部分は樹脂製なので重さも感じず、長時間の使用でも不快感はありませんでした。
また、耳にフィットするため、軽く動いても外れることはありませんでした。
音の感想
視聴環境
・アラサー男の耳 (16000hz)
・エージング 100時間くらい(意図的なバーンイン無し)
・Fiio JM21 → 本機(EQ無し)
・ケーブル 標準(3.5㎜)
・イヤピ 標準(白)
・リファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『何なんw』
〇米津玄師『BOW AND ARROW』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇DUSTCELL『足りない』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
全体的な印象について
「NM20」に新たに搭載されたMC2L-100Pダイナミックユニットは(中略)やや軽量で剛性の高いベリリウムメッキ振動板を採用。磁束密度1テスラを超える強力なデュアル磁気回路と組み合わさることでニュートラルな音色を維持しながらも、より伸びやかでディテール感豊かなサウンドを実現しています。(公式サイトより)
とのことで、つまるところ1DDの構成です。
音色はナチュラル~寒色寄り。
第一印象はスッキリとした音色で、余韻は少なく、音の厚みは控えめ。
解像度と分離感に優れ、レイヤリングが良く、1DDでありながら各楽器の聴きわけがしやすいです。
チューニングの印象は弱ドンシャリで、高音域により重心があります。
ドンシャリですがボーカルの後退はあまり感じず、特に中高音域の女性ボーカルは力強さすら感じます。
フラットな特性ではないので、スタジオモニターではなく、ステージモニターとしての位置づけでしょう。

各音域について
◎低音域
支配的というほどの主張はないが、しっかりと存在感があり、かつ高品質という印象です。
量感としてはよくあるハーマンチューニングのイヤホンと比べると控えめですが、ミッドベースがしっかり感じられるくらいには出ています。
アタック感は十分ですが、厚みはそれほど感じられません。
とはいえ変にボワつくことがないので、タイトで聴きやすく、レスポンス速度も適当で調和のとれたベースだと思います。
サブベースの響き、深さは他の帯域の障害にならないよう意図的に多少削がれている印象があり、低音好きの方は物足りなさを感じるかもしれません。
イヤーピースによって多少印象が変わるので、物足りなさを感じる方は付属の物から密着感の高い厚めの物に変えてみることをお勧めします。
◎中音域
ボーカル、楽器ともにシャープで明瞭、クリーンな音色という印象でした。
全体的に高精度で綺麗に再現され、余計な脚色が少なく、素直に聴きやすいです。
逆に言うと音楽的な余韻や厚み、豊かさに欠けると感じるかもしれません。
このあたりはモニター用途を意識した調整になっているのかなと感じます。
ボーカルが前面に出てくるほどの主張はありませんが、遠くにある感じは全くせず、むしろ分離感の良さも手伝って、しっかりと中央で他の帯域に埋もれることなく聴くことができます。
女性ボーカルについてはやや張りがあり、良く制御されていると思いますが、音源側の処理によっては歯茎音が気になるかもしれません。
◎高音域
高音域はかなり存在感があります。
レスポンスが良く明瞭で煌めきがあり、シンバル、ハイハットなどの楽器はエネルギッシュに響きます。
高音に敏感な人、高音域がかなり明るく調整された音源では多少うるさく感じるかもしれませんが、耳障りになるような残響は少なく、私は長時間の使用でも不快感はありませんでした。
総じて風通しの良い、気持ちのいい高音です。
空間表現について
※確認に使用した音声
"イヤホン/ヘッドホン専用 【音像定位】 Sound localization"
"イヤホン/ヘッドホン専用【音源移動】足音/FPS/ゲーム/音響技術開発 Sound source movement"
空間表現はかなり優れていると感じます。
十分な定位感で、方向の把握が容易です。ASMRなんかにもいいと思います。
サウンドステージも左右に広く、かつ見通しの良い開放感があります。
ゲームでの使用についても、音の聴き分けについて、方角・距離感とも掴みやすいです。
レイヤーもしっかり分かれている印象で、ごちゃつきは感じません。
体内に響くほどではないですが、低音も十分な迫力を演出してくれます。

おわりに
さて、今回の感想文は以上となります。
冒頭でも言いましたが、私自身かなり使用頻度が高く、パッケージの充実具合に加えクリアボディがカッコいいし音も良いので、A15kではかなりおすすめのイヤホンです。
何というか、安定感が良いんですよね。
轟々とした低音や艶やかなボーカルとは縁遠いですが、タイト・すっきり・クリーン・透明・自然・安定感みたいなワードに当てはまる音が気になる方は是非聞いてみて欲しいです。
本当はもっと早く認(したた)めたかったのですが、本業とプライベートが忙しくなかなか時間が取れませんでした。もうちょっと頑張ります。
ではまた、次回の記事でお会いしましょう。
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