まえがき
こんにちは。
初心者の感想文#4はTRN VX PRO+です。
ConchやMedusaといった独特で評価の高いイヤホンを送り出しているTRNの新作ということと、金属風の見た目に何となくビビッときたため購入しました。
前身としてVX PROという同じ形で金属躯体のイヤホンがありますが、そちらは未所持のため、完全に「+」単体の感想となります。
実はVX PROの後継機ということで、イメージ画像だけで金属躯体だと思い込んで購入したのですが、実はプラスチック製を金属風に仕上げているだけだったので少しショックを受けました。
無試聴開幕凸はこういうデメリットがあるんですね。勉強になりました。
とはいえ後述する通り、音質に関しては期待以上だったので今はあまり気にしていません。躯体も金属と見間違えるくらいにはきれいに仕上げてあるし。
ただ、今は正直プラスチック製で構わないから指紋の付きやすい金属風の鏡面仕上げはやめてほしかったなと思っていますw
内容物とか
内容物はイヤピが4種類(1つだけT-EAR TIPS)、ケーブル、本体のみの簡素な構成です。VX PRO+より安いConchのほうが付属品は豪華なのは面白いですね。それだけ本体に力を入れているということだと解釈していますが…
ケーブルは3.5mm or Type-Cで、マイクの有無が選べます。
今回はType-Cマイク有を選びました。軽く外出するときなど、ガッツリ音楽試聴装備を整えないような場面でType-Cは何かと便利なので、標準で選べるのは良いと思います。じっくり聞くときはリケーブルすることも多いですし、この仕様は有難いです。
ただ、このType-Cケーブル、直刺しで視聴するのは便利ですが音質はそれなりです。当然と言えば当然ですが。
また、ホワイトノイズも結構あり、騒音のある外での視聴ならともかく、静かな室内での視聴には向きません。
なので、外出時以外、基本的にはリケーブルして視聴しています。
イヤホン本体
本体は全体的に丸みを帯びたフォルムで、プラスチック製、金属風の鏡面仕上げです。
カラーバリエーションでシルバー・ブラックが選択でき、今回はブラックを選びました。光の当たり方にもよりますがクロームのような輝きです。
さてこのVX PRO+、鏡面仕上げならではの美しさを持っていますが、当然の如く映り込みが凄いです。そして同時に指紋がめちゃくちゃ目立ちます。
今はまだついていないですが、傷もかなり目立つんじゃないかなと危惧しています。
ただ、プラスチック製にも利点があって、その最たるものが軽さです。
躯体はとても軽量で、長時間のリスニングでも不快感を覚えず、かつ簡単には外れなさそうないい具合のフィット感です。
低価格帯のイヤホンとして、外での使用や長時間の運用は想定しうる環境ですから、この軽さとフィット感は十分メリットと言えると思います。
音の面でも後述するようにメリットがあると思うので、素材から一新するなら、いっそ鏡面仕上げじゃなくてマット調とかにして傷や汚れが目立たない普段使いしやすいデザインにしてくれれば…と思ってしまいました。
販売ページにはコネクタ部分は2pin端子との記載が。QDCじゃないの?無印はQDCだったので多分QDCのはず……
ノズルの太さは標準的で、先端に返しもあるので、たいていのイヤピが使えると思います。
音の感想
視聴環境
DAP HiBy R6 Pro II
ケーブル Conch 標準ケーブル → SoundsGood kirin
イヤピ AZLA SednaEarfit ORIGIN Standard
前述のように付属のType-Cケーブルはホワイトノイズがあり、音を細かく楽しむには向かなかったため、最初は同じTRNのConchについていた標準ケーブルで聞きました。
なお、感想文を書くにあたり再試聴の際は、SG kirinにリケーブルして視聴しました。音が柔らかく広がり、低中音域に少しフォーカスが当たる印象があってなかなか気に入ったので今はこちらをメインで運用しています。
全体的な印象
最初の印象として、中高音域はよく聴こえるが全体としてはパッとしない気がしていました。
しかし、ちょこちょこエージングしつつ聴きこんでいったらドライバーが本気を出し始めたのか印象がかなり変わってきました。
もしかするとエージング(意図的な鳴らし・慣らしはバーンインというらしい)が必要な機種なのかなと思ったりしています。耳が慣れた可能性もありますが。
音が変わり始めてからはベリリウム振動板(正直良く知らなかったのですが)という奴の力によるものかシャープでキビキビと音が鳴ります。
ベリリウム振動板について調べてみたら、
「音は透明で金属感があり、人々にクリアで明るい感覚を与えます。また、ベリリウム振動板の密度は比較的低いため、音の感度と応答速度の向上にも役立ちます。」(※註)
とのことで、聴いた印象通りだったので、なるほどなという気持ちでした。
躯体はプラスチック製だからか、反響というか響きの余韻は薄いですが、後述のように高音が強く鳴るため刺さりすぎ防止になっている気がします。
空間表現としては、閉塞感というほどではないが、明確に広い空間を感じるほどきれいに抜けていく感じはしません。ただハキハキ音が鳴るので狭い感じもしない、躯体の特徴を活かした良いバランスな気がします。
全体的に寒色傾向に聴こえますが、ソリッドで切味あるパリシャキというよりはハキハキ鳴っているといった感じで、音域によっては柔らかい印象も受けました。
女性ボーカルの曲を気持ちよく聴きたいときに使うといい感じです。
※註:NICEHCK公式サイト『Getting Started for Audiophiles: How to Choose the Best Headphones for You?』(https://nicehck.com/blogs/guides/in-ear-monitor-earphone-faq-and-troubleshooting)
各音域について
・高音域
一番印象的なのが高音域で、繊細で鋭い存在感のある音が鳴っているという印象でした。
周波数特性を見ても、2k付近からの高音のチューニングが特徴的です。
とはいえ、キンキン響いてやたら刺さるといった感じではありません。これは躯体がプラスチックであることの影響がある気がします。
HIMALAYAのような金属躯体でここまで高音を際立たせたら耳障りなくらい刺さりそうです。VX PROはどうなんだろう……
ただ刺さる曲は刺さります。個人的には大丈夫な範疇でした。アップテンポな曲の連続ハイハットが気持ちいい!!
・中音域
中音域付近では中高音域、とくに女性ボーカルの音域にフォーカスが当たりやすく、立体感のある強いボーカルを聴けます。ただし、人によってはs,tの音が気になるかもしれません。(これは高音域にも属する話ですが)
高音域と同じで刺さる曲は刺さります。同じアーティストでも曲によって刺さる刺さらないがあったので、発音や音源側の処理による影響が大きい気がします。
歯茎音を分析できるのはこのイヤホンの強みかもしれません笑
中高音域より下は相対的にやや控えめなので、s,t音の刺さりが気になる人は男性ボーカルのほうが聴きやすそうです。
・低音域
高音域が特徴的だが低音域がおざなりになっているわけではなく、しっかりとキック力と重さのある低音が鳴ります。
無理やりブーストしているようなボヤっとした印象はありませんが、ほかの音域と同じようにハキハキとした音で鳴るので、内臓にまで響き蠢くような余韻のある低音は期待しないほうがいいかもしれません。
ドゥンヌドゥンヌというよりドゥッドゥッって感じです。(わかりにくい)
全体的を通して高音付近や低音が強い印象ですが、ボーカルが埋もれるような感じもなく、上手く歌わせている感じがします。
逆にギターピアノのような中音域の楽器はやや弱めで、ボーカルと一緒に鳴っているときの解像度の高さは特別感じません。
ベースはそこそこ。とにかくドラムが強い。シンバル・バスドラ好きな人は気持ちよく聴けそうです。
注意点として、高音の刺さりを気にして音量を下げすぎると、中低音がスカスカに聞こえてしまいがちなので、そういう意味でもこの独特な高音域が合う人向けな気がします。
まとめ
以上の通り、総じてハキハキとした音で、高音域~中高音域の存在感を中心に、重みのある低音域で支えつつ、ボーカルも埋もれさせることなく上手く鳴らしていて、高音域重視でありながらバランスの良いイヤホンという印象でした。
金属躯体を期待して購入したため、躯体のクオリティには少し肩透かしを食らいましたが、音に関しては期待以上で結果大満足な買い物となりました。惜しむらくはqdc端子なのでリケーブルがしにくい……
中華イヤホンってConchはじめ各々の強みを持った低価格帯の機種のコスパが凄まじい印象がありますが、VX PRO+は全てが高水準でまとまっているタイプのコスパ機な気がします。
出たばかりのイヤホンですが、もうセールで5,000円前後で買えるので、興味がある方は一聴の価値があると思います。
ということで、以上でVX PRO+の感想文は終わりです。
せっかくなら無印VX PROの音も聞いてみたいなと思っていますが、無印のほうが値段が高いという。
最近はあちらこちらに手を出しすぎているのでしばらくは落ち着こうと自分に言い聞かせています。いつまで持つかな。
次あたりに同じTRNのConchくんの感想も書きたいなと思っています。まだちゃんと聴けていないので…
ではまた。