オーディオ処方箋記録

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【感想文#5 SIVGA - Que-鵲-】包み込むような音で心地よい音楽体験ができる、木目が印象的な1DDイヤホン

 

※いつにも増して分量が多いので興味のある項目まで飛ばしてお読みください。

 

まえがき

こんにちは。

初心者の感想文#5です。いつ脱初心者と名乗ればいいのか機を見失っています。

そもそもどうしたら初心者を脱せるんだ…?

 

さて、今回の感想文は SIVGA の Que -鵲(かささぎ)- です。SIVGAの製品はお初になります。

綺麗な木目のフェイスプレートに惹かれ、気が付いたらポチっていました。こういうボタニカル?なのも好きです。

 

正直レビューなどを見る前にポチったので音は別に値段なりの期待値だったのですが、試聴した結果めちゃくちゃお気に入りのイヤホンになりました。

 

今回は割と褒めまくってます。人によっては違くね?的外れ。と思うようなところがあるかもしれません。ご指導ご鞭撻、大歓迎です。

ただ、私は今現時点で自分の知っている世界、少ない音楽経験に基づいて、このQueを通して感じた喜びをつづりたいと思います。

 

パッケージもカッコいい。"鵲"の字がでかいのがまた良し。



内容物とか

内容物は革製ケースと標準ケーブル、イヤピ2種(黒軸4ペア、白軸3ペア)です。

黒のイヤピは軸が長めで、白は軸が短めです。

ケーブルはコネクタが0.78mm 2PINでプラグが3.5mmの高純度無酸素銅銀メッキケーブルで、マルチワイヤによるリッツ編組になっています。

 

内容物。ケースは適度な大きさで使いやすそう。
イヤピは黒(軸が長い)が4種、白(軸が短い)が3種
コネクタ部分は少しせり出している0.78 2pin
プラグは3.5mmのみです
綺麗な白銀のケーブル。装着時はこんな感じ。

 

 

イヤホン本体

FPの部分は木製、それ以外の部分は亜鉛合金筐体です。

製品説明によると、

変形に強いことが特徴の北米産ホワイトメイプルウッドを、SIVGAの培ってきた木材加工技術でハウジングに適用しています。

木製素材の特徴を活かし筐体内部の反響を制御、音質向上のみらず、淡く明るい色味の美しい外観で所有欲を満たします。

亜鉛合金素材に精密な鋳造技術を加えて、ノズルと通気孔のサイズをより正確に仕上げています。
ベント穴を適切なサイズに抑制する事で、振動膜を動きを最適化し、音の重要なポイントとなる周波数帯のリズムを正確に再現しています。
さらに筐体の共鳴を効果的に低減し、ドライバーが奏でる本来のサウンドを引き出し、ユニットの負荷を軽減させ耐用年数を延ばしています。

とのことです。

正直イヤホンという些細なことでも音に影響が出るような繊細な機構に、素材としては安定感のなさそうな木製素材を採用するのはよほど加工技術への自信があるんだなと感じます

実際、見たところ粗などみつからず、美しい筐体を作り上げていると思います。

 

ドライバーは10mmベリリウム振動板を搭載しています。

ベリリウム振動板については前回と同じ引用で済ませます。

「音は透明で金属感があり、人々にクリアで明るい感覚を与えます。また、ベリリウム振動板の密度は比較的低いため、音の感度と応答速度の向上にも役立ちます。」(※註)

ドライバの特性もあってか、後述の通りキレの良い音を鳴らしてくれます。

 

コネクタ部分は2pinで、やや凹んでいて、ケーブルがカチッとハマる仕様です。

ぬるりと刺さるよりも安心感はありますが、最初は硬さが気になるかもしれません。

また、凹んでいる仕様上、完全なフラット2pinは使えません

 

 ※註:NICEHCK公式サイト『Getting Started for Audiophiles: How to Choose the Best Headphones for You?』(https://nicehck.com/blogs/guides/in-ear-monitor-earphone-faq-and-troubleshooting

焼いて刻まれたメーカーロゴがカッコいいですね
フェイスプレート以外は合金



 

音の感想

視聴環境

DAP  HiBy  R6 Pro II

ケーブル  標準ケーブル

イヤピ  標準(黒) → 標準(白)

 

イヤピは最初は黒軸を使っていましたが、音場の広さの代わりに音がぼやける感じがしたので白軸に変更。黒軸のほうが暖色傾向が強くなる印象です。

 

全体的な第一印象

とにかく心地の良い音で、包まれるような感覚がある、というのが第一印象です。

音の鳴り方はベリリウム振動板のアタック感とキレを感じ、響きはメープルウッドの力なのか穏やかに響く。

全体的にバランス良く、突出して気になるような部分が生まれないような優しく柔らかい音という印象です。

 

暖色寒色は…どうだろう、キレの良さは寒色っぽく感じるけど、全体的な、特に中音域以下の包み込むよな広がり方は暖かさを感じる…。

うーん、この辺の感覚はまだ良くわかりません!ファーストインプレッションのまま、鳴り方は寒色、全体的な響き方は暖色ってことにしておきます。

 

 

各音域について

・高音域

中高音域~高音域が個人的にQueのバランス調整の中で特に気に入ってるポイントです。

刺さるような音や歯茎音などノイジーな部分を上手くカットしつつも、主要なアタック音が埋もれず存在感を放ちつつ綺麗に鳴っていて心地よく聴くことができます。

鋭く煌めく高音を求める人にとっては物足りないかもしれません。

 

 

・低音域

低音は全体的に優しく鳴る印象ですがスラップやバスドラのアッタク感はちゃんと感じれます。ゴリゴリの低音というより、深い音でしっかりとリズムをとって下支えしている感じです。

一方で、音源側でベースが「主張してるよ!」って曲だとちゃんと意図通り主張している印象があります。

このイヤホンの優しく包み込む音を印象付ける要因の一つは、曲の意図通りしっかり存在して、好き勝手主張しすぎず、かつ深く響く低音域にあると思います。

 

ただサブベースが控えめで、低音ゴリゴリが好きな人からしたら音が弱かったり薄かったりという印象を受けるかもしれません。

また、これは筐体の特徴なのか、パワーはありつつも良くも悪くもマイルドな響き方をするためか、曲によってベースラインがぼやけて聞こえることがあります。

ここはイヤピによってもかなり変わってくる部分だと思います。

 


・中音域
ボーカルは埋もれることなく、やや前に出ている印象です。とくに低めの男性ボーカル(男性の地声域くらい)や、高めの女性ボーカル(女性の裏声域くらい)が良く聴こえます。

ボリューム的には突出しているわけではないけれど、中低音・中高音域をやや膨らませて優しい音色で表現しており、他の音域に埋もれないので立体感があります。

 

また、ボーカルだけでなくピアノやストリングス等、楽器の音も変に混ざることなく綺麗に鳴っている印象です。

高音域も低音域も存在感がありながら、中音域も立体感を持って鳴っていることで、包まれるような音の広がりを感じることができている気がしてます。

 

 

音の感想(まとめ)

全体として、とにかく優しい音色で出来るだけ自然なリスニング体験ができるように作られているなあという印象でした。

 

耳を澄ますほど集中しなくても存在感のある、でも棘はない高音。
そして、曲側が意図して前に出している部分はしっかりと存在感を増して聴こえ、それ以外のところではしっかりと下支えしながら曲に深みを与えている低音。

 

曲の意図するところを汲み取るって音源がそうなんだから当然そうなるって思いがちですが、実際は多種多様な曲すべてに対応するのは無理ですよね。

(もしかしたらもっと高価なイヤホンならそれができるのかもしれませんが…)

 

実際、低音域における深みを感じる音の響きが、ある曲ではぼやけて聞こえたり、サブベースの特徴的な曲で内臓にまで響くようなうねりを感じるほどではないために、物足りなさがあったりもします。

高音域も恐らく刺さるような音域を多少カットしているために、曲によってはシンバルの鋭い切れ味や、ストリングスの伸びやかさ、ひいては全体的なきらめきが足りないと感じることもありそうです。

 

それでも、このイヤホンではそのトレードオフができるだけ自然になるよう、全体のバランスを平均値的ではなく中央値的に調整している印象があります。

多くの人にとって心地よいなめらかな響きで楽曲を表現すること、そこにQueの目指す音像があると(勝手に)思いました。

 

個人的な好みでいえば全体的にもう少し響きが乾いていてパリパリシャキシャキした分離感が高い音、そしてブリブリでゴリゴリな低音が好きです。笑

それでも私の安い耳、少ない経験の中では、全体として大満足な音楽体験だったし、Queの音は総合的な音楽表現の成功例として私には感じられました。

 

 

リケーブル

強いてリケーブルする必要性を感じないくらい、標準ケーブルでの音が良かったのですが、手持ちのケーブルの中であえてやるならこれかなあというのをやってみました。

 

・Yongse WhiteBear (4.4mm)

解像度と音場のアップグレードを感じたがバランス化のおかげかも。わからん。

見た目シナジーは標準とほぼ変わらないのでぼちぼち。

 

・NICEHCK 5Aplus (4.4mm)

情報量が増し迫力が凄い。「音で包んであげるよ」が「我が貴様を音で包んでやろう」にランクアップした感じ。

見た目シナジー的にはこれが一番。

 

・NICEHCK AceOrpheus (4.4mm)

正統進化。はっきりと解像度と滑らかさがアップする感じ。

見た目シナジーは微妙。

 

今回の見た目シナジーは5Aplusが優勝でした

 

 

おわりに

私は5万円以上のイヤホンを所持していません。きっと雲の上には私の想像しえない世界があるのだと思います。

ただ、最近は様々なイヤホンを使ってじっくり音楽を聴くようになり、少ない経験値なりにこのイヤホンの製作者はどういった音を提供したいのだろう?と考えるようになりました。

それと同時に音楽鑑賞は楽曲が合って成り立つものなので、音源側が提供したい音についても考えざるを得なくなり、音源側への理解も深まりました。

 

逆に忘れてたのか?というくらい当たり前のことを再認識し、音源をどのように再生するのか、そこに各々の違いがあって面白いというイヤホンの初歩に立ち返った気がします。

音域を分離して分離して、パーツの一つ一つを吟味するのも楽しいですけど、総合的な表現として存在する音楽作品全体として、面白さを改めて見つけていきたいと思います。

 

さて、今回は以上です。自分の中で基準となるような、全体的にとても印象の良いイヤホンでした。

語りすぎて黒歴史になっていないか心配ですが…。

今のところ音としてはHIMALAYA、A5000に次ぐお気に入りです。エージングによる音の変化も楽しみですし、ゆっくり味わいたいと思います。

 

ではまた。