要点
・ノイズキャンセリング性能が高く、外音取り込みも便利
・全体のバランスに優れたやや寒色寄りの弱ドンシャリでソフトなW字傾向
・解像度は価格相応だが、スカスカではなくしっかりしたHiFi志向の音作り
・片耳4.2gと非常に軽量。フィット感も良好で長時間利用でも大丈夫
・専用アプリがあり機能面で操作しやすい。言い換えるとアプリ必須
・安い。この性能なのに約5,000円で買える
・あくまで音質は価格にしては結構良い、くらいなので期待しすぎると肩透かしかも
・イヤピが合わないと評価が一変するので、イヤピ選びが大事
まえがき
レビュー#19
今回はROSESELSA - CERAMICS Xです。
ROSESELSA (Rose Technics)は2015年に設立され、インテリジェントな技術と綿密な製造を通じて、比類のないオリジナルサウンドの再現を追求してきた新進気鋭のオーディオブランドです 。これまでに、国内外の音楽愛好家に知られる優れたオーディオ製品を数多く発表してきました 。
CERAMICS Xは、55dBのANC(アクティブノイズキャンセリング)性能、長時間のバッテリー駆動に加えて、音質面ではLDAC接続にも対応し、リア共振空洞を備えたプランクドライバーユニットによってHiFiグレードの音質を実現しています。
なお、今回の製品はレビューのため Roseselsa_Official 様よりご提供いただきました。
この依頼に際し、製品提供以外の金品授受その他便宜の提供はございません。また、内容に関して指示等は一切なく、完全に私の知識と経験に基づき感じたままをレビューしています。
ROSESELSA CERAMICS Xは現在 Aliexpress の Roseselsa Official Store 及び ROSESELSAの直販ストア で発売中です。
仕様
スペック
製品名 |
CERAMICS X |
カラー |
パールホワイト/ミッドナイトグレー |
重量 |
4.2g |
55dB | |
4000Hz | |
ドライバーユニット |
HR1テクニカルプランクユニット |
32Ω |
|
充電時間 |
約1時間(*) |
コーデック |
AAC/LDAC/mSBC/SBS |
レイテンシー(ゲームモード) |
54ms |
防塵・防水レベル |
IP54 |
Bluetoothバージョン |
5.3 |
バッテリー稼働時間 |
50時間(**) |
出力電力 |
5mW |
周波数応答範囲 |
20-20000Hz |
通信範囲 |
15m |
(*)一回(約10分)の充電で、約2時間の稼働が可能
(**)総再生時間:50時間、1回の再生時間:10時間
その他機能
「ROSE LINK」アプリ(日本語対応)により以下機能のコントロールが可能(※Ver42)
・ノイズキャンセルモードの切り替え(ノイズキャンセリング、風切音、通常、トランスペアレント)
・3つのチューニングモード(POP、HiFi、Rock)
・ゲームモードを有効(54msの低レイテンシ対応)
・デュアルデバイス接続
・タッチ設定のカスタマイズ
・ガイダンスの言語設定(英語、中国語)


ドライバー
カーボンナノチューブダイヤフラムを備えた第1世代プランクドライバーユニット、Cadence Tensilica HiFi 5 DSPチップ、ELCチューニング技術により、没入感のある低音、豊かなボーカル、明るい高音、強化されたディテール、そして一流の歯擦音最適化を提供します 。
(公式販売ページより)
「CERAMICS X」は、第一世代の「Planktonic dynamic coil unit」(プランクトン動的コイルユニット)を搭載し、後部共振空洞を構築。一般的なワイヤレスイヤホンを凌駕する音密度とダイナミクス性能を実現。
振動板には超高剛性と軽量特性を持つカーボンナノチューブ振動板素材を採用。最大 1.5T の磁束密度を持つテスラデュアル磁気回路システムを搭載し、有線ハイファイイヤホンの音響構造をワイヤレスイヤホンで再現しています。
付属品や外装


CERAMICS Xのパッケージはこんな感じ。技適も確認できます。
付属品は必要最小限の構成。
内容物は①本体、②イヤーピース、③USB-Cケーブル、④説明書です。
②イヤーピースは最初からついている1ペア+1種類3サイズ。軸が短く、軸より傘が長いタイプです。
③USBケーブルは、USBのType-A to Type-Cタイプ。
充電器は付属していないので用意する必要があります。
本体・造形


CERAMICS Xのカラーバリエーションは「パールホワイト/ミッドナイトグレー/スターライトシルバー」の3種類。今回はパールホワイトを提供いただきました。
質感は多少プラスチックの安っぽさを感じなくもないですが、5,000円と思えば頑張っている方。



つや消し加工っぽくなっており指紋はつきにくいですね。
重量は4.2gと軽く、着け心地も悪くないです。長時間の使用でも不快感はありません。
ただ、このタイプのTWSはイヤピが合っていないとポロっと落ちてしまうことがあるので注意です。


ケースはつるつる。


十分な空間があるので大き目サイズのイヤーピースでも収まると思います。逆に言えばケースから本体がやや外れやすいです。蓋を閉めていれば問題ありませんが、落下時などは紛失注意ですね。
ノイズキャンセリング機能
ノイズキャンセルモードは①ノイズキャンセリング、②風切音削減、③通常、④透明の4つ。③の通常はANCオフなので実質3種類です。
①のANCですが、前提としてイヤーピースがしっかり合っていること、しっかりと装着されていることが必要です。隙間があるとノイズキャンセリングの効果が十分に発揮されません。
適正なサイズのイヤーピースでのノイキャン効果は正直思ってたよりかなり高いです。
主に部屋での使用では換気扇、扇風機、エアコンの音がかなり削減されました。
耳を澄ますと遠くで聴こえるなー、くらいです。
自称55dBの消音力は伊達じゃないですね。
ちなみにですが、所持している別の密着感の高いイヤーピースに変えてみたところ、更に環境音が減り静寂具合が凄いことになりました。もし可能ならば色々なイヤーピースに変えて試してみることをお勧めします。私がまさにそうですが、左右で合うイヤーピースのサイズが違うなんてこともあります。
試していませんが究極の遮音性を求めるならフォームタイプのイヤピとか良さそうですね。購入ページのオプションでフォームタイプがあったと思うので試してみるのも良いかもしれません。
カフェでは周りの人の声が遠くなりBGMやガヤガヤが軽減されます。
電車では流石に走る音が聞こえますが、やや遠くなります。
流石に外では完全消音とはいきませんね。カフェの騒音が60dBくらい、電車内の騒音が80dB~と言われているので流石に仕方ないかと思います。
②風切音削減は、風が耳に当たった時の「ボワボワ、ボフボフ」音を削減してくれます。
試しに扇風機前に立ってみましたが、確かに結構効果があるなと感じました。
強いて言うなら風の音そのものではなく、あくまで風が耳に当たった時の「ボワボワ、ボフボフ」音を削減してくれるものなので期待しすぎには注意です。
④の透明は、いわゆるトランスペアレンシー(外音取り込み)機能で、イヤホンを着けたままでも周りの声や音を聴き取りやすくしてくれます。
これが結構便利で、レジに並ぶとき、ちょっと外のアナウンスを聞きたい時など、イヤホンを外さなくても周囲の音をしっかり聞き取ることができます。
バッテリー・接続安定性について
バッテリー
Ceramics Xのバッテリーについては、以下のスペックになります。
・総再生時間:50時間
・1回の再生時間:10時間
・一回(約10分)の充電で、約2時間の稼働が可能
これはメーカーの計測値なので設定や環境によって大きく変わる可能性があります。
実際に試した感覚として、LDAC接続・音量小さ目の連続使用で、約6時間くらいで本体のバッテリーが切れたので、やはりLDAC接続にするとバッテリーの消耗が激しいようです。
接続性
LDAC接続で室内の利用では、一度も途切れませんでした。
駅やショッピングモールでは、時折一瞬の切断がありましたが、おおむね使用に支障はありませんでした。
もしさらに人混みなどでプツプツが気になるようなら、より安定するAAC/SBC接続に変更してみてください。
音の感想
視聴環境
※Ver 42(2025/8/1 時点最新)、EQは「HiFi」モード
・アラサー男の耳 (16000hz)、ドンシャリ(V字、W字)好き
・エージング 50時間
・Google Pixel 9 Pro → 本機(LDAC接続)
・音量大きめ(やや音漏れが聞こえるくらい)
・イヤピ 標準
・主なリファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『何なんw』
〇米津玄師『BOW AND ARROW』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇女王蜂『01』
〇Ado『踊』
〇星街すいせい『Orbital Period』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
〇梶浦由記 『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」コンサート』
全体的な印象について
HiFiモードでは、ニュートラル~やや寒色傾向。
バランスが良く、想像以上にしっかりした音作りというのが全体の印象です。
チューニングとしては弱ドンシャリでソフトなW字のような印象。
正直A5kであることを考えると音質はかなり良いと思います。
安価なTWSで想像されるスカスカな音とは全く異なります。
イメージとしてはコスパの良い安価な1DDのHiFi有線イヤホンがワイヤレスになっている感じです。
解像度の面ではやや物足りなさを感じる面もありましたが、値段を考えれば十分以上だと思います。
各音域について
◎低音域
引き締まったタイトな音質が特徴です。
特にミッドベースはボワつきもなく、自然な低音で曲の下支えをしてくれます。
厚み、深さ、アタック感どれをとっても「十分」と感じるくらいには出ています。
確かな存在感がありつつも、他音域を邪魔しない低音域です。
サブベースはやや物足りなさを感じる場面もありましたが、トータルで見て価格帯を考慮すると非常に質の高い低音です。
もしBASSが足りないと感じたときはEQのPOPモードを試してみると良いかもしれません。
◎中音域
ボーカルは自然に半歩前に出るイメージ。
特に女性ボーカルが良いですね。伸びやかさがあり、表情も豊かです。
歯茎音(s,t行の音)も不快にならないくらい抑えられており、クリーンで聴きやすい音質です。
もし歯茎音が気になるときは、EQで他のモードを試してみることをお勧めします。(HiFiモードが一番高音域が強く、POPモードが一番控えめです)
楽器類も変に強調され過ぎることなく自然で聴きやすいです。
全体的にやや解像度の甘さはありつつも、クリアかつ十分な表現力の中音域だと感じました。
◎高音域
明るく煌びやかで、リアルな響きと存在感があります。
響きも伸びやかで、優れた拡張性を持っているように感じます。
エネルギッシュな印象ですが、聴き疲れするほどではないと思います。
ただ、音量によってはやや刺さりが気になるかもしれません。
もし刺さりが気になるときは、EQで他のモードを試してみることをお勧めします。(HiFiモードが一番高音域が強く、POPモードが一番控えめです)
空間表現(ゲームでの利用等)について
それほど広い印象はないですが、奥行きと左右の広がりも適度にあり、窮屈さはありません。定位やイメージングも十分な精度です。ASMRでもかなり良いなと感じました。
また、RPGゲーム(ペルソナ5X)でも、遮音性の高さ、低音がしっかり出ていることから、ゲームへの没入感と迫力を演出してくれてかなり良い感じでした。
音ゲー(ペルソナ5X)では流石にゲーミングモードでも多少遅延が気になりましたが、反応調整で何とかなる範囲でした。
スーパーマスターEQ各種の特徴について
・HiFi……重心がやや高めな弱ドンシャリ
・POP……HiFiと比べるとやや中~高音域が弱めだが、低音域がやや強調される
・Rock……HiFiとPOPの中間のような印象
・高音域のイメージ HiFi > Rock > POP
・低音域のイメージ POP > Rock > HiFi
おわりに(感想)
最近日本のオーディオ界隈ではROSESELSAの有線イヤホンが高コスパとして注目されることが多いですが、ワイヤレスイヤホンもクオリティが高いなあと感じました。
CERAMICS X自体は1年ほど前の製品ですが、TWSとして欲しい部分を詰め込んだ高コスパイヤホンで、今でもオススメできる一品だと思います。特にノイキャン性能は期待以上でした。
気軽に使えて、かつ性能がそこそこ良いTWSをお探しの方に是非試してほしいですね。
さて、今回のレビューは以上となります。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。
販売・リンク等(AD含)
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