要点
・アルミ筐体と雪のマークのデザインが良い
・1DD構成で、ボーカルが聴きやすい弱ドンシャリ寄りのチューニング
・低音は控えめで温かみがあり、高音は明るいが刺さらず、中音域はボーカル重視
・解像度・分離感は価格相応だが定位感は悪くなく、ASMRやFPSでも使用可
・価格が約2,000円と低価格なので、一本忍ばせておくのに良いかも
まえがき
レビュー#22
今回は NICEHCK の StringSnow (弦雪) です。
NICEHCKは中華ケーブルメーカーとして有名ですが、イヤホンにも定評があり、ミドルクラスのHIMALAYAやNX8は高い評価を得ています。
そんなNICEHCKが送る低価格エントリーモデルのカナル型イヤホンがこのStringSnow (弦雪) です。国内でも約2,000円で購入でき、バランスの良い音とアルミ筐体と可愛らしい雪のマークが特徴的です。
なお、今回の製品はレビューのため NICEHCK Japan 様よりご提供いただきました。ありがとうございます。
この依頼に際し、製品提供以外の金品授受その他便宜の提供はございません。また、内容に関して指示等は一切なく、完全に私の知識と経験に基づき感じたままをレビューしています。
NK1 MAXは現在 AmazonのNICEHCKストア で販売中です。
仕様
スペック
モデル |
StringSnow |
イヤホンタイプ |
カナル型イヤホン |
ドライバー |
10mmダイナミックドライバー |
振動板 |
PEEK複合PU+LCPドーム振動板 |
再生周波数帯域 |
20-20KHz |
32Ω | |
感度 |
106dB/mW |
イヤホン材質 |
ABS+アルミニウム合金 |
プラグタイプ |
3.5mm / Type-C(32bit/384kHz対応) |
ケーブル素材 |
銀箔シールド層を備えた高純度銅線 |
*上記のデータは実験室での測定値であり、状況によって若干異なる場合があることをご了承ください。
ドライバー
弦雪 StringSnowカナル型イヤホンは1DDカナル型イヤホンで性能が極めて優れた10mm PEEK複合PU+LCPドーム振動板を備えたダイナミックドライバーが搭載されています。(公式販売ページより)
とのこと。
構成としては、ダイナミックドライバー一発の、いわゆる1DDの構成ですね。
付属品や外装



パッケージはこんな感じ。
シンプルで小さく、付属品も必要最小限の構成。
内容物は①本体、②イヤーピース、③ケーブルバンド、④説明書等です。
②イヤーピースは最初からイヤホンについている緑軸の1種類1サイズと、予備の1種類3サイズ。クオリティ的、カラーマッチ的には緑軸のものが良かったのですが、如何せんサイズが1種類しかないのがネック。



本体・造形
カラーバリエーションは「ブラック」「ミントグリーン」「ピンク」の3種類。
プラグはUSB-Cタイプと3.5㎜プラグタイプの2種類があり、USB-Cタイプはマイク有、3.5㎜プラグタイプはマイク有と無の2種類になっています。
今回は「ミントグリーン/3.5㎜プラグ(マイク有)」を提供いただきました。
余談ですがミントグリーンは同じNICEHCKのケーブルDAC、NK1 MAXとカラーがバッチリマッチします。
こういったエントリー帯のイヤホンはどうしてもビルドクオリティの面で安っぽさを感じがちですが、ビジュアルの鍵となる外面はアルミニウム筐体で、造りもしっかりしていますね。雪のマークも可愛いです。
ノズル部分の径と軸の長さは標準的。返しもあるので、イヤピ交換も容易。
本体も小ぶりですし、イヤーピースさえ合えば難なく装着できるでしょう。
この大きさなら寝ホンにも良いかもしれません。
ケーブル部分は銀箔シールド層を備えた高純度銅線だそうです。
スライダーもある程度機能します。耳掛けしないストレートタイプは特有のタッチノイズがあるので、スライダーが有効なのは助かりますね。
マイクのクオリティは値段なりですが、物理スイッチは便利かもしれませんね。
(一回押しで再生/停止、二回押しで曲送り、三回押しで曲戻し)
なお、リケーブルはできません。
音の感想
視聴環境
・アラサー男の耳 (16000hz)、ドンシャリ(V字、W字)好き
・エージング 50時間
・Google Pixel 9 Pro → NK1 MAX → 本機
・音量大きめ(やや音漏れが聞こえるくらい)
・ケーブル 標準(3.5㎜)
・イヤピ 標準(緑軸)
・主なリファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『何なんw』
〇米津玄師『BOW AND ARROW』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇女王蜂『01』
〇Ado『踊』
〇星街すいせい『Orbital Period』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
〇梶浦由記 『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」コンサート』
全体的な印象について
ニュートラル~やや暖色傾向で、1DDらしいまとまりが良く自然な出音。
ボーカル表現に重点を置いているという公式の言説通り、ボーカルが聞き取りやすい弱ドンシャリ的なチューニングだと思います。
低音域はやや控えめながら適度な厚みがあり、高音域は明るく、中音域は温かみがありボーカルが際立っている印象。
解像度・分離感の面ではやや物足りなさを感じる場面もありましたが、値段を考えればこんなものかなという印象です。
パリッとし過ぎない温かみのある音なので、ゆったりと聴くにはちょうど良いかもしれません。
各音域について
◎低音域
量感、質ともにやや控えめ。
やや膨らみがあり、優しくゆったりとした温かみのある音です。
ベースヘッド(低音好き)には物足りないと思いますが、逆に低音過剰だと疲れるという人には良いかもしれません。
現代音楽的な低音ゴリゴリな曲よりは、バラードなんかが合うと思います。
◎中音域
ボーカルが印象的。
弱ドンシャリなのでやや凹んでいますが、前傾しているので聞き取りにくいといったことはないです。
気楽にボーカル曲を聴きたい時には良い選択肢ではないでしょうか。
うまく高音域をロールオフしており歯茎音やs,t音の刺さりは感じにくいですね。
◎高音域
明るく、やや遠い印象。
周波数特性で視覚的に見えるほどの量感は感じませんでした。
確かな存在感がありつつも、刺さるほどではないバランス。
粒立ちの良い音というよりは、馴染みの良い溶け込みやすい音といった印象です。
空間表現(ゲームでの利用等)について
サウンドステージは価格なりにぼちぼちで、特別広さは感じません。
定位感は悪くないので、ASMRやFPSゲーム(APEX LEGENDSで確認)でも十分使えると感じました。上下はやや弱いです。
また、それ以外のRPGやアクションゲーム(ペルソナ5X、ELDEN RINGで確認)でも、十分使えるクオリティだと思います。
おわりに(感想・まとめ)
StringSnowはデザインの良さも相まって、一本持っていても良いかなと感じる出来でした。
有線イヤホンデビューに、布教・プレゼント用に、寝ホン用や雑に使える普段使い用として、バックに忍ばせる予備イヤホンとして……色々と使い道はあるかと思います。
特に同じNICEHCKのケーブルDAC、NK1 MAXとの組み合わせはビジュアル面でかなり綺麗なので個人的オススメです。
にしても、この価格帯(2,000円前後)の争いも熾烈ですね。
最近は国内外問わずクオリティの高い低価格エントリーモデルが充実していますから、StringSnowもデザインが気に入ったら是非試してほしいと思います。
さて、今回のレビューは以上となります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
販売・リンク等(AD含)
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