要点
・ビジュアルがとてもいい。クリアボディが綺麗でかっこいい
・自然で聴き易いハーマンチューニング準拠のドンシャリ
・他帯域を邪魔しない適度な弾力と厚みを備えた、聴きごたえのある低音域
・明瞭かつ空間の広さを感じるような良い空気感の高音域
・解像度が良く近さを感じるボーカル。特に女性ボーカルが良い
・やや大きめの筐体だが、軽く、装着感も良いので長時間の使用でも不快感がない
・$200級のパッケージとしてはやや簡素で、付属品のクオリティも最低限
・スタジオモニターのようなフラットな特性を求める人には向かない
まえがき
感想文編#18。
今回はKBEAR - KB16 Cepheus (仙王座)です。
感想文はNF ACOUS - NM20以来、KBEARだとレビュー依頼のあったGLINT以来の記事となります。
KBEARはKB01を筆頭に、$50以下のコスパの良い低価格モデルを作っているメーカーのイメージですが、今回のKB16 Cepheusは$200級と一気にミドルレンジの製品を送り出してきましたね。
構成も2DD+6BAと一足飛びにレベルを上げてきた印象です。
ローンチの時には以前感想文を書いたTRI DRACO(りゅう座)と並べて語られていましたが、実際はかなり別物でした。大元の会社は一緒ですがあえて出すメーカーも変えているので星座モチーフという以上の深い意味はなかったのかもしれません。
なお、一応KB01、KB02も持っていますが、ドライバーの構成が違い過ぎるので比較対象にはならないかなと思い、KB16単体のみの感想文になっています。
付属品や外装



パッケージはこんな感じ。
内容物は①本体、②ケーブル、③イヤーピース、④ケース、⑤説明書等。
イヤーピースが3種類付いていますが、$200級のパッケージとしてはやや簡素かなといった感想。その分本体に注力しているのでしょう。



②ケーブルは4芯の銀メッキ合金銅ケーブル。
端子はフラット2Pin-0.78㎜タイプで、プラグは3.5㎜のみ。
線は細めで柔らかく取り回しが良いですが、やや絡まりやすいので注意です。この価格だと4.4㎜の選択肢が欲しかったところです。
正直ケーブルは少し安っぽい印象はぬぐえませんが、音自体はそこまで悪くないです。ただ、バランス化を含めまだ伸びしろがあると思うので、KB16の本領を発揮させるためにもリケーブルを視野に入れることをお勧めします。



④イヤーピースは3種類の計9セット。
イヤーピースの選択肢が多いのは良いですが、3種類とも似たような弾丸型なのはちょっと惜しいです。個別の使用感自体は悪くないのですが、この価格帯ならもう少しバラエティが欲しかったところ。
なお、別売りだとTRIの角笛(Clarion)が装着感、音ともに相性が良かったです。
せっかく同系列のグループメーカーで良いイヤピがあるのでそれを付属にすれば良かったのになと少し勿体なく感じます。
⑤ケースは恐らくフェイクレザー製のケース。
やや小さめで、本体とケーブル、イヤーピースがギリギリ全部入るか入らないかくらいのサイズ感。
コンパクトに持ち運びたい時に良さそうですね。
本体デザイン・造形
カラーバリエーションは「パープル」と「ブルー」の二種類。
カバーは、空を舞う燕尾蝶をデザインインスピレーションとし、高透過性の樹脂を使用。星空のような質感を演出し、銀色の光の点はまるで流れる天の川のようです。(公式販売ページより)
バックキャビティは高硬度の透明PC素材を採用。
KBEARのロゴが刻印されたBAが見えるのも拘りを感じて良いですね。
また、樹脂製なのでかなり軽く、長時間の使用に耐えうる仕様です。




ノズル部分はよくある後付けで金属製になっているタイプではなく、本体と一体となった樹脂製のノズルで、フィルターやノズルの返しがありません。
このタイプは音がダイレクトに伝わってきて個人的には好きですが、お手入れに気を使う必要がありますね。
コネクタ部分はフラット2pin-0.78㎜で、主流の端子なので拡張性も◎です。
全体的にバリや欠けなどもなく十分なビルドクオリティだと思います。
中の構造が見えるクリアボディは好き嫌いありそうですが、個人的にはカッコよくて好きです笑
装着感
筐体はやや大きめですが耳になじむ形状で、個人的にかなりフィットしやすい形状。
ベントのおかげか装着中の圧迫感も少なく、樹脂製で軽いため、長時間の使用でも不快感はありませんでした。
また、使用中のドライバーフレックスも感じませんでした。



音の感想
視聴環境
・アラサー男の耳 (16000hz)、ドンシャリ(V字、W字)好き
・エージング 50時間
・Fiio JM21 → 本機(EQ、フィルター無し、Lowゲイン)
・音量大きめ(やや音漏れが聞こえるくらい)
・ケーブル 標準(3.5㎜)
・イヤピ 標準(赤軸)
・主なリファレンス曲(flac音源)
〇藤井風『何なんw』
〇米津玄師『BOW AND ARROW』
〇RIIZE『Boom Boom Bass』
〇凛として時雨『Telecastic fake show』
〇Vaundy『life hack』
〇女王蜂『01』
〇Ado『踊』
〇星街すいせい『Orbital Period』
〇milet『inside you』
〇宇多田ヒカル『First Love』
〇トゲナシトゲアリ『雑踏、僕らの街』
〇HIMEHINA『LADY CRAZY』
〇アイナ・ジ・エンド『Love Sick』
〇梶浦由記 『「Fate/stay night [Heaven's Feel]」コンサート』
ドライバ・全体的な印象について
Cepheusは2DD+6BAの構成。
独立して配置された6つのBAユニットが、中域、高域、超高域を担当するように精密に分割されており、同軸上に配置された6mmと10mmのダイヤフラムのダイナミックドライバーが中域と低域を担当しています。
今回の試聴の中でドライバー間の不自然なつなぎ目を感じるようなことはなく、上手く調整されている印象でした。
とはいえ、多ドラ特有の各帯域が粒立ち過ぎているが故の聴き疲れが無いこともないです。この辺は人によるとは思います。
寒暖的にはやや寒色~ニュートラルといった印象。
重心はやや低音域側に感じますが、とはいえ高音域もバランスよく鳴っている印象です。
サウンドとしてはV字傾向。とはいえピーキーなほどではなく、自然で聴き易いハーマンチューニング準拠のドンシャリです。
周波数特性的にもやや中低音の凹みを感じることがありますが、ボーカルが一歩前、近さを感じる位置にあり、解像度の良さも相まって正直ほとんど気にならないです。
個人的には弱W字という印象で、ボーカルもかなり良いです。
他帯域を邪魔しない程度の厚みと存在感のある低音域と、クリアで明るく空気感を演出する高音域、そして解像度が良く近さを感じる中音域が上手く調和しています。
個人的には低音の響きが際立つので、やや大きめの音量で視聴するとこのイヤホンの真価を発揮してくれる印象です。ただし耳に悪影響のない範囲で。
主流のハーマン準拠の音楽的なドンシャリが好き、ボーカル好きなら一聴の価値ありだと思います。
一方、スタジオモニターのようなフラットな特性を求める人には向かないでしょう。
各音域について
◎低音域
適度な弾力と厚みを備えた、聴きごたえのある低音域です。
ミッドベースは重さとパンチ力があり、ほとんどのベーストラックで物足りなさを感じることなく、かといって他帯域の邪魔をするようなこともありませんでした。
サブベースは深い響きを再現しており、やや音量を上げるとより際立って感じることができます。
個人的には、V字チューニングとして「適切かつ十分な」という印象の低音域でした。
ただ、ベースヘッド(低音狂)には物足りないかもしれません。
◎中音域
寒色過ぎず、また不必要に温かみもありすぎないので、とても自然で聴き心地が良く音楽的なバランスです。解像度・分離感も良く、多ドラの恩恵を感じます。
また、やや前に来るボーカルが印象的です。
特にやや音量を上げて聴いた時にはボーカルの息遣いまで感じられる距離感と解像度で、ボーカルを重視する人にもオススメできます。
中でも中~高音域の抜け感と伸びやかさも相まって女性ボーカルが非常に良いです。
男性ボーカルの帯域はやや凹みを感じることがありますが、解像度の良さも相まって特に気にならず、むしろ2DDの恩恵か十分な厚みと豊かな響きを感じます。
ただ、中~高音域の良さとある程度トレードオフな部分として、曲によってはやや刺さりが気になることがあります。
とはいえ、ほとんどのトラックで常識的な音量の範囲であれば刺さるまではいかない、かつ十分な伸びやかさの「良い調整」の範囲に収まっていると思います。
◎高音域
明瞭かつ良い空気感の高音域です。
量感としては際立って感じるほどではありませんが、全体のバランスの中では存在感が十分にありながらも金属的で不快な刺さりは殆どなく、また、全体のバランスを崩すこともありません。
筐体が樹脂だからか、ベントが良い作用をしているのか、不必要に響くこともなくスッと嫌みなく抜ける感じも良いです。
また、高音域の空気感のおかげか、空間の広さをより感じます。
若干メリハリが弱い感じもしますが、個人的にはかなり好みの高音域の調整だなと感じます。
空間表現について
サウンドステージは広めで、上下左右に自然な広がり方で立体的。
抜け感も良く高音域の空気感がかなり良い影響を及ぼしていると感じます。
定位感も良く方向を捉えやすいので、ASMRやFPSゲーム(APEX LEGENDSで確認)でも十分使えると感じました。ただし、銃声など高音域がやや刺さりやすいので、長時間の使用であればEQ等で調整してあげるのが良いと思います。
おわりに(感想)
多ドラの利点を上手く活かし、かつ上手くコントロールされたチューニングで、ドンシャリながらボーカルも良く、解像度や空間の広がりも魅力的なイヤホンでした。
繰り返しになりますが、主流のハーマン準拠の音楽的なドンシャリが好き、ボーカル好きなら一聴の価値ありだと思います。
他帯域を邪魔しない程度の厚みと存在感のある低音域と、クリアで明るく空気感を演出する高音域、そして解像度が良く近さを感じる中音域が上手く調和しています。
個人的にはリケーブルやイヤピの交換でさらに性能を発揮してくれている印象なので、購入された方はぜひ色々と試してみて欲しいですね。
さて、今回のレビューは以上となります。
ではまた、次の記事でお会いしましょう。
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